欧米圏で1990年代以降に盛んになったファン研究は、アニメを含むさまざまなメディア作品のファンを中心に扱いながら、「ファン」が学問の対象になることを提示しつづけてきた学問領域であるといえる。
一方でアニメやマンガ、アイドルなどのファンが一定の存在感を持っている日本において、ファンを扱う研究は複数のディシプリンで散発的に行われており、欧米のファン研究の立場が浸透しているとはいえない状況にある。ファン研究の視点を採用することでアニメファンはいかに捉えられ、ファン自身や産業に対してどんな知見を提供できるのか、また、なぜ日本でファン研究は根付いてこなかったのか、といった話題について議論していきたい。